規制って悪か?

■郵政って何だった?経済成長の切り札になったのか?

 

「郵政民営化」。このキーワードで相当盛り上がりましたよね。

 

でも。

今にして思えば、郵政民営化は日米年次改革要望書の主要トピックであったと思うけど、何か変わっただろうか?変わったのは景気?、経済の構造?、景況感?


結論。郵政民営化して何が変わったか?
敢えて言おう。何も無いと。ひとつだけ言えば与党が変わった。

まぁ、一番変わったのは郵政事業へ関わる社員含めた関係者かも知れない。



郵政民営化の本質は、外国資本による、日本の個人金融資産の取り込みの促進だったのではないかと思う。郵政民営化の際、一番の話題となったのは個人金融資産を吸収する金融機関として郵便局の巨大さ。日本の個人金融資産の巨額さは群を抜いていて世界2位。その中でも巨大な存在たる郵便局の預金残高は官業による民業圧迫の象徴的な存在にしたてあげられ、反論でも述べようものなら「抵抗勢力」として整理された。

 

その金融資産の運用配分はお国柄によって特徴がある。

日本は現金・預金が大好き、英国は保険・年金へ重心、そして米国は現金・預金は程々にして株式や債券への投資を含めてほぼ均等に配分している。


こうした状況で、規模拡大を目指し、仕組み債の販売などに悩ませていた米国の金融機関が何を考えたかといえば、日本の金融資産の取り込み。金融商品をどれだけ企画しても買い手がいないと売り上げが出ないだけでなく、ヘッジするリスクの買い手もいない。だから日本に目をつけたのだろうけど、投資信託だけでなく預金も含めて運用を受託することに伴う成功報酬や手数料収入の確保を見込む、実に巨大な市場を取り込むことが其の目的だと思う。

なぜ日本なのかといえば、他の先進国では現金・預金は既に少ないので株式や債券への投資を誘発するにも限界がある。対して、日本は米国とは真逆の運用配分なので、まだまだチャンスがある、というもの。世界2位の規模は今なお魅力的なのである。

2000年代中頃から、こうした潜在的なチャンスの取り込みをはかるべく、既存のシステムを破壊するキーワードが準備された。それが「官から民へ・規制緩和」。市場経済は万能であるかのように語られていた時代が数年前にもあったと思いますが、そのことです。現在の不景気を全て既存のシステムの責任とし、現在の経営者の責任を不問とするかのようにも理解できるムードメーカーがいたと思います。今頃何をしているのだろうか?

でも、考えてほしい。規制があったから不景気になるのか?

すなわち、規制が無いと好景気になるのか?

 

規制と経営者の力量は比例も反比例もしないと思う。

要は、経営者が必要な行動を、しかるべき時に判断、実行していれば自然と企業は成長できる。



■日本の規制を外国と比べると...

ちなみに、メディアは現在の与党を叩く材料として、他国との規制状況を比較する。もちろん、日本が自由化している部分ではなく、規制をかけている分野と他国が自由化している分野である。そうでないと「叩けない」。これだけのこと。

ちなみに、日米農業の規制を語る際に、米国は自由農業、日本は規制農業とするのは誤り。

米国の農業だって確か2段階にわたる市場価格対応型の規制というか政府による補助金や融資のシステムがある。あれだけ巨大な企業農業を進めている米国も補助金を発行していることは意外でしょうが、実は事実。日本だけが補助金を発行するのではなく、世界各国で農業は補助金で支援されている産業なのです。食糧確保は各国にとって国民を喰わせるために必要なライフラインであり、国家安全保障上の戦略的物資なのです。

 

ゆえに補助金=税金を使って何とか自給率をあげ、輸出余力さえもてるようにしようとする。豊作であれば輸出の売上が増えるし、もし凶作となれば輸出を削ればよい。もちろん、削られた側=輸入国からすればたまったものではない。こういうことが考えられるから、自給率が注目される。

 

だから、自給率の異常低下は好ましくないと言われています。

想像出来ない人には極論で考えてもらうと分かり易いもの。例えば自給率ゼロだとどうなりますか?

 

外国の言い値で食糧を輸入することとなるのです。

どうでしょう。普通に恐くないですか?