[書評]日本半導体復権への道

旅のお供に是非読書を!

日本半導体復権への道、著者は日立製作所で半導体一筋の経歴をお持ちの牧本次生さん。

半導体産業の始まり、市場の黎明期、そして電機産業を背景に日本製半導体産業が成長した経緯。その後の日米半導体交渉を機に日本の半導体産業が衰弱した過程や、今後復権するに何が必要かを、第一人者である著者がまとめた一冊。半導体産業に注力する各国の動機に対する理解も深まります。

 

一般的なビジネスパーソンの常識として、大きな流れを理解しておけばテレビや新聞などのメディアがいい加減な報道をしても鵜呑みになることも防げます。

半導体のユーザー企業を国内に育成することが処方箋

日本の半導体産業が一時隆盛を極めたのは、半導体を使う電子機器産業が世界でもシェアを高め、製造工場は国内に多数あったことが主因。一方、日米半導体交渉や製造工場の海外移転が進んだ現在、ユーザー企業は国内に少ない。一方、半導体の製造に使用する素材産業は日米半導体工廠の最中にも技術や競争力を高めていった結果、現在も主要なプレーヤーに留まっている。

 

半導体は産業のコメと呼ばれた時代はあったが、もはや産業の心臓といえるほど重要且つ必須の部品。例えるなら、店頭で10万円の電機は1千円程度の半導体が欠けただけで機能せず出荷できないと言った影響力がある。半導体の価格の100倍ほどの経済に対する影響力があることを、日本の政治家は理解するべきだが、わかっている人は少ないから、給湯器だけでなく自動車の生産遅延に窮する現況がある。

 

今後は日本が半導体を使用する産業であり、且つシェアも高いロボット産業へ注力して、半導体産業の復権を目指すべきだ。 

 

といった本ですが、半導体に関するマクロ、外交や経済、技術的な解説などがフルセットになった読み応えのある一冊です。

 

旅行の移動中、お手元に用意しては如何でしょうか。