国内カードから国際カードへ
著者:湯谷 昇羊
発行:文芸春秋
価格:680円
出版:2002年08月
国内のクレジットカード会社と言えば、DCカード、MCカード、UCカード、とか、そうそうJCBがありまっした。
そんな時代に唯我独尊、クレジット業界の孤島とか、色々な表現をされていたJCB。
ボクが学生時代の週刊ダイヤモンドとか、東洋経済とか、経済雑誌での記事はそんな程度だった。
あれから10年。
気がつけば、国際化したカードの一角としてJCBがあるという内容です。
NHKのプロジェクトX風のストーリーなので、今ならではの本かも。
苦労した国際化初期、なかなか相手にされず、加盟店になってくれない時期が続くんです。
そして、何かをきっかけにして加盟店の増加とともに取扱高の成長過程、そして飛躍の現在、という展開で読んでいけるので気分爽快になる本。
とはいえ、日本国内は別として、欧米での使い勝手は今一歩です。
もう少し頑張ってほしいと思いながら読んでいました。
やっぱり、海外旅行ではVISAとMASTERの方が、どこでも使えるという安心感で一枚上手です。
日本人が会員であることが加盟店には魅力
そんなことは別にして、カードが普及するとき、特にJCBのような後発の場合、海外加盟店へのセールスポイントは、金持ち日本人がJCBカードで沢山買い物してくれるようになる、というものだったのは想像はしてましたが、やっぱりね、という印象。
小売をしている加盟店からすれば、毎日の売上がメシのタネでして、やっぱり売上が伸びることには興味はあっても、コスト削減は優先順位が低くなるのかな、という風にも思った次第。
JCBが「日本人を会員にしたカードは売れる」という信念だけで、今の企業規模に持ち込んだことは本当に立派なことです。
売上の3%~7%と言われる手数料を計算してください。
数兆円の売上の数%ですから、それだけで数千億円の収入になる。
そう考えたら、やっぱり巨大企業です。
そんな企業の初期の記録として読むには充分な情報量で、時々読み直しても面白いと思います。