★★★★☆ iモード事件

松永真理著 
角川書店発行
価格 1,300円
出版 2000年7月

これも面白い本。男女ともに、参考にするべき点多くお勧めする本の1つ。

 iモードの大爆発的ヒットの裏に、NTTからの転籍者の多いNTTドコモが、新商品をプロプロデュースする際の、組織の動き方・外部人材の導入・ノウハウの内部普及・人材の養成、ということを真剣に捉えて取り組んだことを、リクルートから転職した松永さんの視点で書いた本。

 筆者の松永氏は、ドコモからの転職の誘い、そして、編集長という身分を投げ、42歳での転職、ドコモでの新規事業をゼロからの立上げ、そして運営が巡航速度にのると再び転職・起業、現在はイーウーマンのEditorial Directorとして活躍中。

 彼女の文体は基本的には短い文章がメイン。コンテンツは質で決まるのではなく、ユーザーからの好きか嫌いかの多数決で決まる、などの本人の主張にもあるように、この本も読者に嫌われないよう、短い文章で、スピーディに書かれているけど、一言でいうなら読みやすい。読みやすいのです。

 こりゃ見事です。克明な記録でありながら、硬く読もうとする人にも、ソフトに読もうとする人にも、容易に読み勧める工夫された文体。

 ハイパーネットを創業するも倒産した夏野氏、そして松永氏という、役者がそろった状態になるまでが大変だったと思うけど、最初に起こったことが一番重要で、それこそがリクルートからの松永氏のスカウト。要は引き抜きです。

 当事者たる本人達は、さながら「七人の侍」と自分を重ねていたかもしれないけど、そんな時って一番興奮している時なんだよね。そうなると労働の動機は金ではなくなってくる。そんな時間は、毎日あるわけではないけれど、そんな体験をした彼らが羨ましい。

 こんな体験をしている人もいる一方で、投資銀行残酷日記のような人もいる・・・・ま、僕も頑張って、そんな体験をしないとね。