★★★★☆ ウォールストリート投資銀行残酷日記

ジョン・ロルフ、ピーター・トゥルーブ共著 
主婦の友社発行
価格 1,880円
出版 2001年5月

 この本も面白く読めます。常軌を逸した労働環境、そして同僚や幹部達の行動を、爆笑できるほど面白く書いた本。著者の境遇には同情します・・・すごいんだもの。3日で読了。

 題材は、なんと投資銀行、というこれまで水面上に現れたことのないテーマ。ボクの場合、大学の先輩が、就職活動の際にチラっと話題に出したくらいで、それ以降、あまり触れることのなかった領域です。

 会社に勤めて以降、周囲の中でもGOLDMANに行ったとか話を聞くと、たんまり給料もらってるんだろうなぁ、とその時は羨ましがったものですが、その一方では給料に見合うだけの過酷な労働環境なんだろうなぁ、とも同情?ともいう想像をしていました。

 まぁ、本書によれば、その認識に間違いはなく、あるとすれば、想像以上に過酷なところってことでしょうねぇ。

 日本の銀行の従来のシステムなら、銀行員はすべて「銀行員」という平等な位置付けにあるけど、外資系の、特に投資銀行なんて世界は全然違うことも分ってきます。事務員と幹部候補、という2層に分かれて、その2つへの会社の待遇はまったく違い、まるで別会社のようなもの、とのこと。

 さて、そんな幹部候補生達の給料たるや、わかっちゃいたけれど、やっぱりね。というほど高めの金額。

 入社数年目で、数千万円。10年目選手で8千万円とか、そんな金額にはなるのですが、本書によれば、全てを仕事に傾注、いや生贄として捧げるくらいのことになるようです。
 帯にも書いてあったけどね、凄い仕事をしているのではなく、凄い労働環境だから高給取りになる、という解釈。そんな見方でゆけば、この業界も3K職場の1つ、ということになるのかな?

 そう言えば、アマゾン.コムのジェフ・ベゾスは元バンカース・トラスト。彼は、1990年代真中で退職してアマゾンを創業したけど、彼もこの本の著者と同じ動機だったかな? とか考えたりすると、二倍楽しめる本かも。

 まぁ、一度読んでみましょう。
 投資銀行とはこんな業界、というのがざっくりと分るかもしれません。

 多少言葉使いが汚い箇所があるので、本書はR-15指定の方がいいかもね。