関口和一著 日本経済新聞社発行
価格 1,700円+消費税
出版 2000年3月
パソコンは1970年から、米国で独自の発展を遂げてきたように想像されている方が多いようですが、実態はかなり異なり、日米で同時に発展してきた。その真実を、そっくりそのままノンフィクション作品にしたのが本書。
首謀者YONEは、ノンフィクションが大好きなために多少点数があがり気味ですが、本作品は、ポイントよくまとめていることから、その中でも、高得点の書。
内容は、マイクロソフト、IBM、フェアチャイルド、ゼロックス、などのいわゆるIT御三家のイメージを冠する企業と、日本のアスキー、ハドソン、などの当時の新興ベンチャーたちとの提携・対立、そして、現在のソフトバンクへとつながるストーリーで、現在の日米のパソコンの歴史を日米同時二元中継のように書き進めてくれている。ソニーのワークステーションとか、NECのPC-100とか、マニアしか知らないようなキーワードがポンポン出てきた時にはエンスーな首謀者にはしびれる文面(え? あなたも知ってる? 業界のかた? それとも従業員のかた?)。
1990年代は、日本のマーケットは閉鎖的である、とアメリカ大統領が言っていたが、本書を読めば、国内流通企業と適切な提携関係の構築と、商品・サービスの品質、並びに価格設定を適切に行えば、日本マーケットほど国産品にこだわらないマーケットもない、ということが浮かび上がる。
まぁ、基本的に日本人は、食品ならば美味しければ、商品ならば費用対価格のバランスがよければ、かならず受け入れてきた、ということがパソコン関係市場の変遷から見えてくる。こんな風に言うと大げさかな?・・・・
この本のなかで、言葉にされていないが黙して語られているのは、「投資なきところに利益なし」。
現在にもあてはまるキーワードとも言え、温故知新、或いは、歴史は繰り返すとも言われますので、本書はIT関係業者はもちろんのこと、企業経営を考える人に教材として読んで欲しい、面白い一冊。