[書評]★★★★★ 目に見えぬ侵略(中国のオーストラリア支配計画)

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★★★★★ 街場のメディア論

街場のメディア論 (光文社新書)を読了。

常々感じていた疑問に応えてくれるかもしれないと思って買った本。

要は「メディアは権力者へ批判さえしていれば生き残れる、正当性を保持出来る」と常々感じていた疑問に対する一冊と思って読んだもの。新聞やテレビ、週刊誌を読むと、こうした感じ方は稀なのか、それとも他にも同じ感じ方をしている人がいるのだろうか?そんな疑問に応えてくれるかも知れないと思って買ったもの。

 

結局のところ、批判さえしていれば生き残れる可能性は高いし、先ずは批判から始めることは、メディアという生業の特性上、必要なこと、ということは分った。

 

例えば、消費増税でもいいし、不審火による火事であってもいいし、記事のネタとしては何でもよい。最初の印象と、最後の結論が真逆のケースもあるはずなのに、そういう場面で必要な訂正記事を書かないことが多いのだ。つまり、警察の調査の進捗に伴い、事実が明るみになるにつれて、事態が初期報道内用から変わる場合には、自分自身でも情報収集しないと、結果として誤った初期報道を鵜呑みにすることになるのだ。訂正記事は自己批判でもなんでもない、真実を報道する行為なのに、メディア界は追跡報道が少ないので要注意ということであった。

 

他にもこんなケースも同じように違和感を持っていた。

「今日、国道で少女がひき逃げされる痛ましい事件が起こりました。こんなことが有って良いのでしょうか?」といったテレビ報道も同じこと。テレビ局側が一方的に「正義」を翳しているようなもの。だけど、その主観的な報道は何とも安っぽい。要は報道こそ価値あるサービスなのだ。事実を報道すればよいのに、なぜか価値判断まで入れて放送する。更にいえば、警察の調査の結果、誤った内容であったとしても、今度は「警察の調査方法に問題があると思われます」となるから、正直なところニュース報道番組がコメンテーター用の番組に成り下がっているようなもの。

 

いつからテレビは目を見張る存在ではなくなったのだろう。

見聞が広がるような番組を見たいし、ニュy−巣番組も見たい。

いま、こうした欲求に正面から応えてくれているのは、NHKくらいしかない。

しっかり制作費用を使って取材しているので、長期ロケが必要な番組もあるし、見ていて驚く内用もあるし、楽しい。

 

こういう番組が少なくなっている民放各社の関係者に見て欲しい番組。

とはいえ、くだらない番組でも見てしまう視聴者側も同罪。

 

視聴者側の知的好奇心の水準が低下している証かもしれない。

そんな風に思いました。

★★★★★ リーダーに必要なこと(ローマ人の物語を読んで)

ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫)

塩野七生氏の有名ベストセラー「ローマ人の物語」を読んでると、もっと早く気づけば良かったと思うことが多い。読み進めるうちに気づいたことへ印を付けているんだけれど、たくさんある。しかも焦るくらいに。

 

例えば、以下の点。

 

- 引用 -

優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係とは、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。

- 引用終わり -

 

そう。正しく、その通り。人はお給料さえあれば働いてくれる。けれど、最高のパフォーマンスになるかどうかは、その人がどれだけやる気になってくれるかどうか、これに尽きる。 

やる気にさせるために必要なことの内、一つを学んだに過ぎないけれど、こういう言葉は読み手が欲している時にしか頭に染み込まないものだし、欲している時にしか目に留まらない。

 

ボクの場合、それが今だったんだなぁ。遅いのか、早いのか、それは分らないけれど、今まで欲しなかったことを欲し始めたことは成長の証かも知れない。

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★★★★★ ローマ人の物語 (1)

著者:塩野七生 
発行:新潮社

価格:420円

出版:2002年6月

 

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)を読了。

 

しばしば「ローマは一日にしてならず」とか「全ての道はローマに通ず」とか聞きますよね。

はたまた「郷に入らば郷に従え」は「Do in Rome as Roman do」とも言われるほど、ローマの存在は現在とは桁違いに大きい。読むべき本の対象として無視出来ない存在とは思うけど、その国の歴史の長さに根負けして読む気になれなかった本。

 

でも、好奇心は加齢によって変化するようで、20代には読む気になれなかった本を今40代になってから必死に読んでいる次第。

 

正直なところ、30代前半に何故読まなかった?と思うほどの本。

現在、一巻を読み終えて、次巻へ進んでいるところ。

 

色々勉強になるので早めに読むことがオススメ。でも20代では早すぎる。

この本は社会人、特に壁にぶち当たった経験、修羅場に遭遇した人がオススメ。

それ以外の人には、参考書になってしまうかもしれない。

だから社会人10年目以降が推奨年齢層かなー。

 

色々参考になるのです。

例えば、都市名ではナポリの由来はネアポリス = New City、つまり、新都市が由来だそうで。訪れる都市の名前の由来やら、地中海の存在感やら、色々勉強になる。昔の国家は現代で言えばシンガポールのような都市国家があちらこちらに群雄割拠していた。特にローマの小さな村落都市から共和制国家へ変え、征服した国家との付き合い方を見れば、現代にも参考になる手法をとっている。

 

とにかくオススメですぞ。

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★★★★☆ 100年予測

著者:ジョージ・フリードマン 
発行:早川書房

価格:1,890円

出版:2009年10月

 

100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図 正直胡散臭いサブタイトルが嫌気だったけど、取引先の社長と会食の際、この話をしようとなったのでイヤイヤながら読み進めたのがきっかけ。「最強のインテリジェンス」とか「影のCIA」とかアメリカ的価値観ではブランドの力がすごいのだろうけど、日本のインテリジェンスの方がすごいぞ!とか思っていたので黙殺していたほど。

 

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★★★★★ 寿司、プリーズ!―アメリカ人寿司を喰う

著者:加藤 裕子 
発行:集英社新書  
価格:680円 
出版:2002年04月

 

 書店でのお勧めPOPに惹かれて購入。名前から想像すると面白さは微妙な本のように想像しますが、いざ目次をチェックして、最初の数ページ読むと・・・面白いのです。

 日本で発達した寿司がアメリカへ渡り、そしてアメリカナイズされて根付いている。現実はこんな風に一行で表現できるのだが、その背景には有名な「ベニハナ」はじめ、たくさんの職人さんが、日本での「粋」をアメリカ流に調整しないと食べてもらえなかった時代に起点する大変なご苦労があった。

 アメリカ人の多くが寿司をファッションの1つとして食している現実があるものの、職人さんの苦労があったからこそアメリカに根付いた。

 アメリカ人はもともと生魚を食べない民族。「ほぼ」生肉のレアのステーキを元とする生肉は慣れているが、白身魚のヒラメ、タイ、キスような、味覚を研ぎ澄まさないと味わえない寿司よりは、ステーキソースやフライドチキンに共通するように脂肪分と塩分とスパイスをしっかりと効かせたものを好む人が非常に多い。さらには、海苔までも見た目が真っ黒で気持ち悪いという理由で「裏巻き」やアメリカ流「巻き寿司」が出たりと、それはもう、出来る限りの工夫がなされている。

 一番大きいのは、日本流の「侘び」「寂び」を店のテーマとすると、アメリカでは受けないため、昔ながらのやり方から必要の都度変更してきた歴史を垣間見ることが出来ます。

 今も、アメリカにおける「SUSHI BAR」「SUSHI REST」が大幅に増えていますが、ここまで根付いたのは、アメリカ政府の健康食推奨レポートとか偶然におきた背景もあるが、職人さんをはじめとした影の努力があったからこそ。そういうストーリーを身構えせずに気軽に読める雰囲気を併せ持った一冊。珍しく深く掘り下げていますし、その割に気軽に読める、秀作ですよ。

★★★★★ MADE IN JAPAN

著者:盛田 昭夫
発行:朝日文庫
価格:920円 
出版:1990年1月


 13年も前の本を読むに至ったのは、学生時代、この本のハードカバーを自費でしっかりと購入しながらも、その面白さを感じられなかった自分を思い出したから。書店で平積みに目が留まり、0.1秒でわしづかみ。そしてレジへ向かったのがきっかけ。

 内容はご存知のかたも多いと思いますのではしょります。表紙にある「わが体験的国際戦略」と、書名である「MADE IN JAPAN」がこの本の全て。天下国家を案じたかどうかは本人のみぞしるが、焼け野原の日本は、知財、教育水準、学者、勤勉な労働者といった高度成長に必要な要素は全て揃っているが、何もない状態。そんな日本から物語がはじまる。

 外国からしばしばいわれる「日本株式会社」というコンセプトは不適当として一刀両断。日本の成長は政治の支援によるものではないとして否定。重工業や化学工業と異なり、民生電機メーカーほど国家から軽んじられた扱いはないもので、勝手に競争し、自力で生き残ることが企業成長の必須だった時代。いまもそうではそうではあるが、一部の企業と農業・漁業を除いて「国」は何らの支援もしなかったのだから、盛田氏のコメントは当然のこと。

 戦後の経済成長と、戦前の暮らしに関して興味をもって色々本を読めば、色々なことが見えてくる。その目的に役立つ一冊でもあります。今からでも遅くない、お勧めですよ。

★★★★★ 日本朝鮮戦争

著者:森 詠

発行:徳間文庫

価格:550円/一部 全11部

出版:1998年11月

 単なるシミュレーションではなく、この本を読むことで現実が浮き出てくる、そんな一冊。

 日本と朝鮮半島の2国間の関係は、歴史というフィルターが不可欠な関係ですが、簡単に理解出来る代物でもないし、かといっていわゆる学識者の意見をヒアリングしたとしても、その人の世代によって微妙にニュアンスがことなるので、ボクのような第二ベビーブーマーの世代からすれば本真実が何なのか分らなくなる。その難しい分野に臨んだ一冊。

 21世紀の今だって、教科書への記載がどの言葉を使っているかで日韓有識者間で議論の的になったりする。歴史認識は各国の主観でまとめればよいものだと思っているので本来は議論の時間が無駄。誠意ある態度を示すだけなら有効な手段ではるが...。

 

 とまぁ、本来ならそういう面倒なテーマに対して、あまり肩肘はらずに臨めそうな本。というと、言い過ぎかも知れませんが、客観的に国民レベルの気持ちや、国際パワーバランスがどうなっているのかを、ポイント良く指摘してくれる本として読めば、単なるシミュレーションとして読むより興味深く読めます。瀬島龍三をモデルにしたといわれる不毛地帯が存在するように、日朝関係をモデルにした本として読むとかなりはまれます。

 登場する地名や、武器、軍隊名称などもこれでもか!というくらいに可能な範囲で実名になっているし・・・リアルさはかなりすごい。その凄さの証明なのか、最後の参考文献のページを見ると、あるわあるわ軍事関係の各種書籍、防衛庁発行の資料、ペンタゴン発行の資料などなど、とにかく普段見ることがない本という本が出ているので、その凄さを垣間見ることができましょう。

 タイトルが過激なものゆえに、書店で見つけてもなかなか手にとって見ることがないかもしれませんが、戦争ものの本としての水準は高いし、現代情勢をフィルターにした舞台設定は上述のようなものでリアルさは抜群の本ですが、ぜひ巻末のエピローグも読んでください。

 今年で60歳を迎える著者の意見が記載されている。

 

-引用開始-
 平和は戦争と戦争の間の期間をいうものであって、いつ平和が破られるかもしれないし、いつまで平和が続くとは誰も保証できないものである。平和な世の中を生きる人に対しては、平和なときを瞬間瞬間を精一杯生きてほしい、
-引用終了-

 

 そんな姿勢が必要である、というコメントが添えられています。
 非常に考えさせられる内容ですが、事実だと思いますし、8月に読む本として適切な本の一つとも言えそうです。興味をもたれた方は是非どうぞ。

★★★★★ 恐るべきさぬきうどん(麺地創造の巻、麺地巡礼の巻)

著者 麺通団著 
発行 新潮社
価格 麺地創造の巻=600円、麺地巡礼の巻=790円
出版 2000年年10月
 

 

こいつは面白い。
いわゆる食べ歩き訪問記の さぬきうどん特化版である。

讃岐地方の地元出版社のT氏率いる「麺通団」が讃岐地方の街中はおろか、超穴場といわれるうどん店をぐるりと廻ってゆくというもの。その店ごとに訪問記を2冊に渡って長々と書かれているが、面白く書いているために、飽きさせない。

多くは語りません。
一度読んでみましょう。面白いのです。

★★★★☆ ウォールストリート投資銀行残酷日記

ジョン・ロルフ、ピーター・トゥルーブ共著 
主婦の友社発行
価格 1,880円
出版 2001年5月

 この本も面白く読めます。常軌を逸した労働環境、そして同僚や幹部達の行動を、爆笑できるほど面白く書いた本。著者の境遇には同情します・・・すごいんだもの。3日で読了。

 題材は、なんと投資銀行、というこれまで水面上に現れたことのないテーマ。ボクの場合、大学の先輩が、就職活動の際にチラっと話題に出したくらいで、それ以降、あまり触れることのなかった領域です。

 会社に勤めて以降、周囲の中でもGOLDMANに行ったとか話を聞くと、たんまり給料もらってるんだろうなぁ、とその時は羨ましがったものですが、その一方では給料に見合うだけの過酷な労働環境なんだろうなぁ、とも同情?ともいう想像をしていました。

 まぁ、本書によれば、その認識に間違いはなく、あるとすれば、想像以上に過酷なところってことでしょうねぇ。

 日本の銀行の従来のシステムなら、銀行員はすべて「銀行員」という平等な位置付けにあるけど、外資系の、特に投資銀行なんて世界は全然違うことも分ってきます。事務員と幹部候補、という2層に分かれて、その2つへの会社の待遇はまったく違い、まるで別会社のようなもの、とのこと。

 さて、そんな幹部候補生達の給料たるや、わかっちゃいたけれど、やっぱりね。というほど高めの金額。

 入社数年目で、数千万円。10年目選手で8千万円とか、そんな金額にはなるのですが、本書によれば、全てを仕事に傾注、いや生贄として捧げるくらいのことになるようです。
 帯にも書いてあったけどね、凄い仕事をしているのではなく、凄い労働環境だから高給取りになる、という解釈。そんな見方でゆけば、この業界も3K職場の1つ、ということになるのかな?

 そう言えば、アマゾン.コムのジェフ・ベゾスは元バンカース・トラスト。彼は、1990年代真中で退職してアマゾンを創業したけど、彼もこの本の著者と同じ動機だったかな? とか考えたりすると、二倍楽しめる本かも。

 まぁ、一度読んでみましょう。
 投資銀行とはこんな業界、というのがざっくりと分るかもしれません。

 多少言葉使いが汚い箇所があるので、本書はR-15指定の方がいいかもね。

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★★★★☆ iモード事件

松永真理著 
角川書店発行
価格 1,300円
出版 2000年7月

これも面白い本。男女ともに、参考にするべき点多くお勧めする本の1つ。

 iモードの大爆発的ヒットの裏に、NTTからの転籍者の多いNTTドコモが、新商品をプロプロデュースする際の、組織の動き方・外部人材の導入・ノウハウの内部普及・人材の養成、ということを真剣に捉えて取り組んだことを、リクルートから転職した松永さんの視点で書いた本。

 筆者の松永氏は、ドコモからの転職の誘い、そして、編集長という身分を投げ、42歳での転職、ドコモでの新規事業をゼロからの立上げ、そして運営が巡航速度にのると再び転職・起業、現在はイーウーマンのEditorial Directorとして活躍中。

 彼女の文体は基本的には短い文章がメイン。コンテンツは質で決まるのではなく、ユーザーからの好きか嫌いかの多数決で決まる、などの本人の主張にもあるように、この本も読者に嫌われないよう、短い文章で、スピーディに書かれているけど、一言でいうなら読みやすい。読みやすいのです。

 こりゃ見事です。克明な記録でありながら、硬く読もうとする人にも、ソフトに読もうとする人にも、容易に読み勧める工夫された文体。

 ハイパーネットを創業するも倒産した夏野氏、そして松永氏という、役者がそろった状態になるまでが大変だったと思うけど、最初に起こったことが一番重要で、それこそがリクルートからの松永氏のスカウト。要は引き抜きです。

 当事者たる本人達は、さながら「七人の侍」と自分を重ねていたかもしれないけど、そんな時って一番興奮している時なんだよね。そうなると労働の動機は金ではなくなってくる。そんな時間は、毎日あるわけではないけれど、そんな体験をした彼らが羨ましい。

 こんな体験をしている人もいる一方で、投資銀行残酷日記のような人もいる・・・・ま、僕も頑張って、そんな体験をしないとね。

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★★★★☆ 浅草キッド

ビートたけし著 
新潮社発行
価格 476円
出版 1992年11月

 昭和47年、明治大学を中退した25歳の青年が浅草のフランス座で修行を始めた芸人の卵、それがビートたけしだった、というふれこみの本。この業界の本も希少性があるためか、面白く読めました。

 読み進めると、浅草はそのまま映画にもなりそうなくらい、ネタの豊富な地域だったようで、約10ページ強に分けられた各章は全て面白く、芸人ならではの体験も、慣習も、師匠との生活も、まさに多種多様、抱腹絶倒なイベントが定期的にあったのか?なんてことを考えてしまう。

 少なくとも、サラリーマンの業界でも古く生き残っている慣習が多少はあるので、違う業界での応用編といったらいいのか、そういうの読み方をしても面白いかもね。

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★★★★☆ 騙し人

落合信彦著 
集英社発行
価格 1,600円
出版 2001年5月

内容に就いては一切書かないようにしてますのでご安心ください。

詐欺師の武器は頭脳のみ。ミサイルも政治家も、何でもかんでも騙してしまうインターポールも苦労するトッププロの詐欺師による救国ストーリー。ということで、衝動買いしたのですが、当り。
まるで映画のようなイントロ部分、そして謎が深まる中盤、そして美しい騙しっぷりが結末を迎える最終部分。セオリー通りの展開ですが、非常に楽しめます。

究極の詐欺師 ならぬ 救国の詐欺師。お笑い頂戴を狙った一文が見え見えなのが玉に傷ですが、それを除けば、国際情勢を絡めたいつもながらの落合節がたっぷりとデコレートされて、映画のように楽しめる一冊。

つまらない映画を見るくらいなら、この本を買いましょう。楽しめます。

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★★★☆☆ マッキンぜー式世界最強の仕事術

 ユニークな本ではあるんだけど価値あるキーワードは「MECE」のみ。他は、同じ元マッキンぜーの大前研一の著書「企業参謀」の方が完成度、理解の容易さ、ともに高い。

 もともと英語で書かれたものを翻訳したことも影響するのか、日本語によるストーリー展開はいまいちな展開が多く、読者の想像するキーワードとずれた和訳になったりして「ナンダコノヤロー」の一言も言いたくなる。金返せ、とは言わないけどね。

 一言でいうと、MECE、そしてプレゼンテーション資料に関するルール、この2つのために買うのか、買わないのか?を決めるような本。

 僕にとっては、プレゼンテーションにかかわる一定のルール、というのは非常に参考になってありがたい。今まで、この種の情報を明文化してくれたものが少ないので、この点では非常に有効な情報と思うが、それ以外では大前研一の著書などで、かなり言い尽くされているのか新鮮味がないのです。

 もう少し書いてくれないと、サラリーマンの処世術How-To本、になってしまう・・・。

★★★★☆ ジャックウェルチのGE革命

ノエル・ティシー著 (小林規一訳)東洋経済新報社発行
価格 2,300円+消費税
出版 1994年 8月

 2001年4月現在は、世界に冠たる大企業且つEXCELLENT COMPANYとしての位置付けを確固たるものにしたGE。そんなGEも、さかのぼること十数年前には収益減少・経費微増・指揮系統の混乱といった大企業病特有の症状が蔓延していた時代があった。

 1980年代半ばから大リストラを行ってきたウェルチが有名ですが、一人で行えたものではなく、GEには強力且つ有能な部下がいてこそ実行できたことを誌面で証明する本。本の帯にも記されていますが、インサイダーとしてかかれている本は貴重なもので、実際にここまで詳しく書かれているものは少ないのです。この本を読むと、危機を示すINDEXとは何か?危機への対応方法は?危機に際してリーダーが取るべく最低限のことは?が明確に理解できると思われます。

 全ては、ジャッジメントです。リーダーは全体を良く認識のうえ、必ず判断を下すことが最低限必要なことであると同時に、最重要事項でもあることが理解できると思います。

 大企業なんだから、判断は明日でも、来月でも良いなどと考えていては、21世紀のビジネス界の時の流れを考える際に、遅い!のは明白。そんなことでは、これから重要になる「生産性」の向上や改善が出来ない、ということが分る本です。内容に就いては、全てを肯定するものではありませんが、半分強は日本人も共感し、実施できる極めて単純なことばかりです、後は知恵を絞って具体策に落とし込むだけ。
 そういうことを理解させてくれる本です。一度読んでみてはいかがでしょうか?

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★★★☆☆ 百貨店が復活する日

著者:松岡 昌宏
発行:日経BP社
価格:1,600円 
出版:2000年10月

 

 百貨店業界は斜陽産業といわれてきた中で、反論する一冊。日本という南北に長い国家が、消費水準の高い地域が都市圏へ過度に集中していることや、鉄道網による移動など、人口密度の高い地域にあることをあげて「百貨店の最適立地日本」として整理している。では、最近の業績不振の背景となると、経営陣のレベルの低さ、という論調。

 

 時々、話題がぶれ、大変マクロな展開からミクロな展開へとリズミカルな展開になると期待して読む。けれど、多少なりとも業界をしっている人の視点では支離滅裂な展開となっている。著者は株式市場を代表して物言いをしているようなつもりであろうが、一般の個人株主と同じレベルのように感じる。

 とはいえ、ところどころ鋭い視点もあるので、無益な本ではないので、こんな意見も「市場」にはある、という程度で読めば素直に読めるでしょう。

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★★★☆☆ ザ・知的漫才 結局わかりませんでした

著者:ビートたけし

発行:集英社文庫
価格:571円 
出版:1999年07月

 

 天才たけしのものを見るときの「切り口」に驚くことの多い一冊。

 

 そりゃ、日本を代表するような専門家9人と知的なトークバトルをするようなもので、一般の人がそれほど知らないことが多い言葉が出てくるが、そこは「たけし」。

 

 オイラ知らない、教えて、という言葉によって、専門家が手取り足取り教えてくれるのである。

 といっても、相応な説明ですが。

 

 この本の難点は、せっかく専門家がいるのに「手取り足取り」説明してくれても、「根掘り葉掘り」聞き出せない、調べ尽くせないこと。

 

 誌面の都合もあるだろう、読者のレベルにあわせて削ぎ落としたこともあっただろう、けどね、せっかく知的好奇心をくすぐるような内容なんだから、もう少し「突っ込み」があっても良いのでは? ボクは欲求不満になって、色々ネットで調べ始めたけど。

 

 でも、そこで、ふと考えた。ん?、、、そうか、その好奇心をくすぐっておしまい、とすることで読者の学習意欲を高めようという作戦か?

 だから「結局わかりませんでした」としてるのかな?

 

 いずれにせよ、好奇心はくすぐられます。

 専門書を読む前に入門書を読むような感覚で、この本を読むと日常生活に刺激が増えてくるでしょう。

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★★★★★ 大東亜戦争の実相

著者:瀬島 龍三
発行:PHP文庫

価格:560円
出版:2000年07月

 

 大東亜戦争という呼称は、戦前や戦中に使われた呼称ですが、敗戦後米国マッカーサーにより使用禁止となり、代わって「太平洋戦争」が正式呼称となり、以後、太平洋戦争となったものである。 日本国が正式に自ら使いだした呼称ではない。 この書き出しがあって「大東亜戦争」となっている。 ボク自身、太平洋戦争という呼称がピタリと来なかったところ、大東亜戦争というそのものズバリの言葉がタイトルにあり、また、著者が瀬島氏ということもあり、購入した。 「是非、読んでほしい一冊」です。

 現在の価値観、世界情勢で当時を批判、回顧するテレビ番組のいかに多いことか。 非常に納得感の少ない番組や、書籍は大変多く存在するが、その点でこの本は、当時の価値観、世界情勢などが明瞭に書き上げられているの。 大変貴重な一冊である。 著者は既に有名なひとだが、当時の大本営参謀本部で作成企画部に所属していたというから、まさに頭脳部を務め上げたひとである。

著者の発言を100%信じることは不要だが、当時の情勢を側面調査したことのある読者ならば、世界情勢の認識や記述に誤りは無いと思われる。 大国同士の軍縮協定の存在、アメリカと対峙した国が「テロ国家」のような位置取りに追い込まれること、中国の広大さという物理的な性格が中国自身を政治/軍事的に統治の難しい国としていること、欧州がインドを通じて東南アジア、中国などの極東へ攻め上がってきたこと、ロシアが南下政策をとろうとしていたこと、とにかく、全てにおいて明確に記述されている点が文献としてだけでなく、記録史としても興味深く読めた一冊。

 911に対する米英の対応を、大東亜戦争と連想しながら読み進めると、類似点の多さに気付くだけでなく、アメリカという国家が戦後からずーっと「軍備国家」であることに気付くと思います。 軍事国家ではなく、軍備国家ですよ。 とにかく、物量で圧倒的な優位を保持(軍備国家)し、そのうえで政治交渉を優位にすすめてゆく、という図式です。 オーソドックスながら、実に確実な戦略です。 

アメリカを好きになる必要はありません。アメリカは有事における交渉時に「一国家としての人格を失う」ことが多く、この本を読みながら、国の将来を憂いてます(いつになったら、属国扱いから解放されるのか?という点で)。みなさんもアメリカのイヤなところを見ようとすれば、この本は必読です。他にない内容なので。

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★★★★☆ 誰が本を殺すのか

佐野眞一著 プレジデント社 社発行
価格 1,800円
出版 2001年2月

ノンフィクションとしての面白さを堪能させてくれる本であると同時に、紹介されている事実と現象をよく理解すると、自分の仕事への応用も出来る可能性もあり、1粒で二度美味しいお勧め本。
面白さから、約500ページの本を、仕事をしながら1週間で読了してしまった本。

内容は、オーソドックスに展開されており、まず、現在の本というメディアが置かれている現況認識が求められ、続いて将来展望というかあるべき理想像が語られ、最後に現況を理想像へとするべきアクション例を多く提示する、という三段論法の展開。

現実に起こっている問題への答えというか、対応策は1つだけではないし、これこそ絶対正しいというものもないけれど、全国の、特に地方書店で起こっているmovementを数多く見せてくれて、この内容は色々と考えさせてくれます。
この本から仕事へヒントが出ないかなぁ、なんてね。

目に付くのがタイトルにもなった「誰が本を殺すのか?」。

本は生まれる一方で(出版)、殺されます(読者に届かぬ在庫となる、廃棄)。

殺され方は実に様々で、こういうことなのか!と思い考えてしまう。
出版はしたけれど、読者に届かなければ「死んだも同然=殺されている本」という捉え方。
述べられている通り、客注=客からの指定注文のこと、への書店の対応はのんきなもので「納期が2~3週間後」となるのは異常なことではない。その原因は書店への販売店たる「取次ぎ」、更に「出版元」となって、どんどん川上にさかのぼって原因が究明されていく。

ところが、殺している業界の人達は、自分勝手に殺している訳ではなく、実は市場である我々消費者が、そうさせている一面がある、というのがピン、とくる点。

良書が減ったとか、魅力的な著者の多くが1990年代に他界してしまったとか、色々と語られていますが、実はニーズが無い限り商品は存在しえない市場の原理原則が存在しますので、我々の購買記録から生成された出版作業であることも一面としてあるのです。

市場原理、すなわち売れ残ってばかりの商品ならば、即発刊中止となるのですが、コンスタントに売れるから発刊される。 コンスタントな類の本は、実は週刊誌などの雑誌。

スポーツ雑誌から芸能界の雑誌、パソコン雑誌であったりと、短期的には必要な情報かもしれないが、一方で1週間もするとゴミとなる「紙の塊」であることも事実。

そんな風に読むと、自身も反省しなくちゃならないような雰囲気になる ( う~ん、事実だからねぇ・・・・・ )。

そして、そんな販売方針をとる書店や、取次ぎに嫌気がさした業界人たちの中には、本をweb-siteで販売する人もいるが、彼らの動機としては、「自分の理想と思える書店を作りたいから」、というもの。 このコメントに業界の需要サイド・供給サイドともに抱える問題が凝縮されているように思います。

基本的には、なぜ?を何回か行ってゆくと到着できるようなことになるのですが、そういう基本的なことを書いている著者が少ない中で貴重な存在。

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★★★★★ アイデアのつくり方

著者:今井 茂雄
発行:TBSブリタニカ
価格:777円
出版:1988年4月


 アイデアのつくり方  60分で読めるけれど一生あなたを離さない本。このコピーに酔って買った本です。

 文字通り離せない本かも。当然のことを当然のように書いてるだけ、と読了後は思うものですが、この本に書いてあることの殆どが、自分がアイデアをつくる際に必ず体験したことばかり書いてあるので、なるほど自分だけのクセではなく、全世界中に普遍的に存在することなんだ、と思った次第。

 だれでも企画中に体験することが、きっちりと正しく書かれているのでしょう。あれ、これは自分と同じ人?!と思う人がたくさんいたから、この本が世界中で支持されてきたのでしょうし、今も売れ続けているのでしょう。

 いい本です。一時間で読めるけど一生役に立ちますよ。

 

★★★☆☆ チーズはどこに消えた

スペンサー・ジョンソン著 (門田美鈴訳)扶桑社発行
価格 838円+消費税
出版 2000年11月

 2匹のネズミと、2人の小人が、迷路の中で消えたチーズを探し求める童話。迷路を世の中に存在する各人のコミュニティーに例え、そしてチーズは目標、という理解で読むと興味深く、教訓めいた読み物になる。


 1990年代にリストラの名のもと大規模な人員削減を行った欧米の大企業を中心として、大ヒットした本ですが、基本的な内容としては、生きること・自己実現を真剣に考えたことのある人なら、その他の本で学ばれていることばかり。経営社会学でしばしば参照されるマズローの「人間欲求五段解説」や、自分自身のライフ・ビジョンを日頃から考えている人なら、あえて読む必要はありません。

 ボクの場合、読中・読了後を問わず、あまり印象的な内容は無かったけれど、1時間で読める単純な本に、この手の内容を盛り込む技術は秀逸でしょう。

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★★★★☆ パソコン革命の旗手たち

関口和一著 日本経済新聞社発行
価格 1,700円+消費税
出版 2000年3月

 

 パソコンは1970年から、米国で独自の発展を遂げてきたように想像されている方が多いようですが、実態はかなり異なり、日米で同時に発展してきた。その真実を、そっくりそのままノンフィクション作品にしたのが本書。
首謀者YONEは、ノンフィクションが大好きなために多少点数があがり気味ですが、本作品は、ポイントよくまとめていることから、その中でも、高得点の書。

 内容は、マイクロソフト、IBM、フェアチャイルド、ゼロックス、などのいわゆるIT御三家のイメージを冠する企業と、日本のアスキー、ハドソン、などの当時の新興ベンチャーたちとの提携・対立、そして、現在のソフトバンクへとつながるストーリーで、現在の日米のパソコンの歴史を日米同時二元中継のように書き進めてくれている。ソニーのワークステーションとか、NECのPC-100とか、マニアしか知らないようなキーワードがポンポン出てきた時にはエンスーな首謀者にはしびれる文面(え? あなたも知ってる? 業界のかた? それとも従業員のかた?)。

 1990年代は、日本のマーケットは閉鎖的である、とアメリカ大統領が言っていたが、本書を読めば、国内流通企業と適切な提携関係の構築と、商品・サービスの品質、並びに価格設定を適切に行えば、日本マーケットほど国産品にこだわらないマーケットもない、ということが浮かび上がる。

 まぁ、基本的に日本人は、食品ならば美味しければ、商品ならば費用対価格のバランスがよければ、かならず受け入れてきた、ということがパソコン関係市場の変遷から見えてくる。こんな風に言うと大げさかな?・・・・

 この本のなかで、言葉にされていないが黙して語られているのは、「投資なきところに利益なし」。

 現在にもあてはまるキーワードとも言え、温故知新、或いは、歴史は繰り返すとも言われますので、本書はIT関係業者はもちろんのこと、企業経営を考える人に教材として読んで欲しい、面白い一冊。

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★★★★★ 亡国のイージス

著者:福井 晴敏 
発行:講談社  
価格:695×2冊円 
出版:2002年07月


自衛隊の最新鋭艦が反乱する、というシナリオ。単純なテロというよりも、ミステリアスな仕上げを上下2冊で丁寧に、且つスピーディに書かれているので面白さノンストップです。

書店のPOPに惹かれて買った本の当たり外れの激しいことに嫌気して、なかなか買えなかった本なんですが、この本は当り。是非ともに映画化に期待。三章を受賞した長編小説です。読み応えも申し分ない。

洋画「ザ・ロック」というニコラス・ケイジとショーン・コネリーの演じるストーリーと似ていますが、あのままでは面白くない。舞台を日本にして、日本ならではの展開であれば・・・という検討が随所にあって最初から最後まで一気に読める。徐々に明るみになる真実、深まる疑惑と混乱、そして最後に一気にクリアになるあたりは秀逸。

在日米軍基地で発生した惨事が発端となって、最新鋭のイージス護衛艦が暴走する、というストーリー。護衛艦ならではの内部事情と国家間の思惑と政治家、自衛隊、武力、自衛力、など色々あるけど一番記憶に残ったのは「自衛力とは、相手にミサイルを撃ち込まれたら、撃ち帰す用意が当方にもあることで初めて自衛力となる」という登場人物の弁。もっともなことで、最新ハイテク武器によれば、先制攻撃こそ最大の防御。そういう時代において、警備行動という名のもとに相手の攻撃を受けないかぎり威嚇射撃の域を出られない「自衛活動」は意味のないものになる。攻撃を肯定するわけではないが、攻撃力を持つことと、使用することは別である。平時は攻撃力をもてればよい。今の日本なら自衛隊と在日米軍が攻撃力に相当するが、実際に武器を使用するのは国家の意思として手続きを経て使用することになる。つまり政治主導である。しかし、現実に攻撃を受ける直前の状況が突如として現れた場合、政治による対応では遅きに逸することになる。

最近になって、ミサイル攻撃を受けたときに限って首相の権限で対応可能になることを検討しているというが、はやくしてくれないと困る。つまり、政治においても「先制行動」が必要となる。
ん!?ブッシュ支持者みたいなコメントになっている。別にこの本はブッシュ支持の本ではなく、戦争支持でもなく、日本のおかれた状況をもとにつくった小説です。しかし、大変面白く読めたのは、現実世界にぴたりとはまるところが多かったからですね。

お勧めですよ。

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