調べてビックリ、ハイレゾの音源を楽しむならヘッドホンが有効!

考えた末にソニーのWF-1000XM3を買いました。

 

この商品説明に「ハイレゾ級高音質」という言葉が何度も出てくるのが気になって調べると、ハイレゾを楽しむなら、ヘッドホンがコストパフォーマンスの良い選択肢とわかりました。

 

ハイレゾ音源に興味を持ち始めたかたの参考となれば幸いです。

ハイレゾ「級」高音質に疑問を感じる方へ

 

オーディオ製品にハイレゾ、ネットワーク対応と言った言葉が出ています。

 

以前と違い、ネットワークからダウンロードしたハイレゾ音源を、心地よく再生出来る製品が増えてきたようです。

 

ハイレゾ「級」ってなに?

 

「ハイレゾ」再生に近づけるから「級」をつける。

 

とはいえ、ハイレゾを連想させる言葉使い。一見すると「怪しい」言葉で、ソニー製品でなければ根拠が疑わしいので読もうとさえ思いません。

 

ハイレゾ級と表現する理由は以下2点と思われます。

  • 音源の周波数が20〜20,000Hz、CDの範囲を超えずハイレゾではない。
  • 非ハイレゾ音源を、高音域を補完して再生するに過ぎない。

DSEE技術によってハイレゾ再生を「擬似体験」するから「級」と表現しています。

これから説明するJEITAが定めるハイレゾの定義を満たせないが、再生域を拡張するのでハイレゾ再生を疑似体験する製品、だからハイレゾ「級」と表現しているんですね。

 

ハイレゾはなに?

 

最低限の条件は、CDやDVDのカバー範囲を超えていること。

具体的には、

  • 録音時は40kHzを超えること
  • 再生する際に音の周波数は24kHzを超えること
  • ダイナミックレンジはCDの96dBを超えること。 

ハイレゾには2つの定義あり

 

ハイレゾを仕様として表現すると、次項のように細かくなります。

 

しかも、日本のJEITAが決めた定義と、JASが決めた定義の2種類あります。

簡潔に決めたJEITA、そして、JEITAの定義に更に条件を追加したのがJAS。

 

JASの定義を読むと、ユーザー体験の質にまで触れてますが、ソニーのヘッドホンはJEITA基準で仕様を記載しています(ソニーに限りません)。

JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)のハイレゾ定義

 

JEITAの概要とJEITAによるハイレゾ定義まで纏めています。

多くのメーカーが準拠する定義です。

 

JEITAの会員構成

 

この社団法人の会員構成を見るとソニーも会員ですが、その他にも広い範囲の企業が加盟しています。

 

オーディオ機器の部品メーカー、完成品メーカーの他にも、アマゾン、アップルジャパン、京セラ、他多数。正会員だけで340社を超えます。

 

協会の名前は「電子情報技術産業」なので、オーディオに限らないんですね。

 

だからなのか、AV機器だけに時間を割くわけにも行かず、簡潔に基準を儲けて、合意形成を優先したようにも見えます(飽くまで推測に過ぎません)。 

 

JEITAのハイレゾ定義

 

CDとDVDの基準(16bit、44.1〜48kHz)を超える音源を「ハイレゾ」と定義。

  • 量子化ビット:16bit超
  • 音声サンプリング周波数:44.1kHz超、及びDAT/DVDの48kHz超

2つともCD基準を下回らず、且つ、いずれかが基準を超える場合にハイレゾとする。

 

ただし、ダイナミックレンジに関する定義は無し。

 

簡潔に基準だけ設定して、あとは各社技術開発で切磋琢磨といった感じでしょうか。 

JEITA基準による音源毎の判別事例

 

ハイレゾの定義はありますが、実際にネットでダウンロードする音楽データは、ビット数やサンプリング周波数が異なります。

 

統一基準が無いので、流通量が多いと思うデータ形式で判断事例を紹介します。

 

CD品質

 

いま世の中に広く普及しているCDのデータです。

  • 44.1kHz/ 16bit : CDスペック
  • 48.0kHz/ 16bit : CDスペック

ハイレゾの呼称可の事例

 

ネットでダウンロードする音楽データには、Flac、WAVなどデータ形式は色々あります。

以下を参考にすると、ハイレゾ基準がいかなるものか理解が容易になると思います。

  • 44.1kHz / 24bit : ハイレゾ(量子化ビット数がCDより高い)
  • 48.0kHz / 24bit : ハイレゾ(量子化ビット数がCDより高い)
  • 96.0kHz / 16bit : ハイレゾ(サンプリング周波数がCDより高い)
  • 96.0kHz / 24bit : ハイレゾ(CDより両方高い)

ハイレゾと呼べない事例

 

もうわかると思いますが、以下の事例はハイレゾと呼べません。

どちらか一方がCDよりも改悪しているんです。

  • 96.0kHz /12bit : ハイレゾでない(量子化ビット数が低い)
  • 32.0kHz /24bit : ハイレゾでない(サンプリング周波数が低い)

JAS(一般社団法人日本オーディオ協会)のハイレゾ定義

 

今度はJAS(日本オーディオ協会)です。

 

法人会員一覧を見ると、アイ・オー・データ機器、アイワ、旭化成エレクトロニクス(オペアンプ)、アルプスアルパイン、オンキョー、ソニー、パナソニック、ティアック等AV機器の部品メーカーから完成品メーカーで構成しています。

 

JAS(日本オーディオ協会)は、JEITAの基準に加えて、更に細かい条件を求めています。

 

ハイレゾ製品としてプレミアムな販売手法をとる以上は、対価に見合う視聴体験もプレミアムなものでないと、市場は成長しません。

 

JASは録音・再生データ・聴覚・無線接続まで定義しているので、ユーザーとしてはありがたい。でも、JAS基準に準拠したハイレゾ製品はあるのだろうか?なかなか見つかりません。

 

アナログ信号

 

以下3点全てが、40kHz以上が可能であること。 

  • 録音マイクの高域周波数性能
  • アンプ高域再生性能
  • スピーカー・ヘッドホン高域再生性能 

デジタル信号

 

以下全てで、96kHz/24bitが可能であること。

但し、ダイナミックレンジの定義無し。

  • 録音フォーマット: FLAC or WAVファイル
  • 入出力
  • ファイル再生
  • 信号処理
  • デジタル・アナログ変換

聴覚

  • 生産若しくは販売責任において聴感評価が確実に行われている。
  • 各社の評価基準に基づき、聴感評価を行い「ハイレゾ」に相応しい商品と最終判断されていること。

無線接続に関わること

 

以下条件を満たす無線製品を対象にハイレゾワイヤレスロゴの使用を許諾。

 

前記ハイレゾオーディオロゴ許諾条件を満たす無線製品に、従来通りハイレゾオーディオロゴの使用を許諾。

  • 無線接続は、ハイレゾオーディオ機器またはハイレゾオーディオワイヤレス機器間を接続し、ディジタルオーディオ信号を伝送するものであること。
  • 無線接続においては、別途定めたコーデックを用いたオーディオ信号を伝送することができること。
  • 無線接続は、“デジタル信号に関わること“で規定されているオーディオ信号を伝送するには、十分な帯域を持たないものであること。

ハイレゾ「級」高音質の謎解明と安心感

 

ということで、WF-1000XM3の公式Webにある「ハイレゾ級高音質」から始まった疑問が解けました。

 

そのハイレゾ級と表現する理由は以下3点ですね。

  • 音源がハイレゾでない。
  • ダイナミックレンジ(bit数)が不足(仕様に記載無しの事実から推測)。
  • 高域補正でハイレゾを擬似体験するに過ぎない。

1000XM3は、音源がハイレゾで無い場合に高音域を造って再生します。

 

だからと言って、それを根拠にハイレゾと言ってしまうと不具合が起こります。

 

以下1番から始まる負のスパイラルで市場が死んでしまうでしょう。

  1. 音源は非ハイレゾだけど、ソニー製品で再生するとハイレゾ!
  2. ソニーがやるなら他社も同様にやりだす。
  3. ソニーのハイレゾ、パナソニックのハイレゾ、オンキョーのハイレゾ、と言った具合に各社で独自のハイレゾが出来上がり、消費者から愛想を尽かされる。

だから、ソニーのハイレゾとは言わずに「ハイレゾ級高音質」の体験を提供するだけと称して、ハイレゾ音源のハイレゾ再生では無いことを説明しているんですね(あ〜ややこしい)。

 

最後に感じたことは安心感

 

この製品でSONYはハイレゾ級と言ってますが、嘘をついてはいません。

安心しました。

 

ちなみに、ハイレゾでないことはわかった上でWF-1000XM3を買っていますし、再生能力にも満足しています。いいですよ。アプリともども完成度の高さに満足しています。

 

ちなみに、ワイヤレスのハイレゾ製品があったとしても、今は買いません。

データ伝送にバッテリーを激しく消耗するだけで、使い勝手の悪いオモチャになると思っています。

ハイレゾ音楽を楽しむには

 

まずは聴きたい音源を購入、設備を整える、あとは楽しむという流れです。

 

ハイレゾデータの購入

 

現在、ハイレゾ音源を提供するのは2社。

Sony主導のMora、オンキョー主導のe-onkyo.comの2社です。

 

データ形式で多いのは以下ですね。

私はなるべくFLACで統一してますが、MQUAのデータサイズも魅力。

  • MORA   :Flac、DSD
  • e-onkyo:Flac、MQUA(*)

(*)はスタジオマスターと同じ高音質ながらストリーミングやダウンロードに使えるようにデータは小容量という優れもの。

 

失敗しないハイレゾ製品の楽しみ方(過度な期待は禁物)

 

人の耳に聞こえるか怪しいのですが24kHz超えの音声を再生できて、且つ、CDよりも広いダイナミックレンジがあれば「ハイレゾ」製品として訴求できると定義されています。

 

聞こえるか?違いは分かるか?という聞き手の能力に課題はあるけれど、それがハイレゾです。

 

違いを表現出来ないけれど体感できる人は、ハイレゾ製品にお金を払う価値があると思います。

 

でも、そんな不確かなものに払ってたまるか!と思う人は、CD基準の製品でも十分楽しめるので、良いアンプと良いスピーカーへ投資する方が良いと思います。

 

音源の違いによる視聴体験の差は繊細だし、美容なものです。

よく言われるライブ感はまさにそれです。

 

スタジオ録音ではなく、ライブ会場での録音こそハイレゾ向きと思うのです。

違いが分かり易いと思うので、是非お試しで聴いてください。

 

例えば森高千里の「この街」TOUR (Live at 熊本城ホール, 2019.12.8) なんかは分かり易い。

ダウンロードして、普通にヘッドホンアンプを通してヘッドホンで聴いても随分違います。

 

購入前に視聴できますし、ライブ感を感じ易いタイプか否かを試してはいかがでしょうか(笑)

音声だけですが、YouTubeで公式チャンネルから公開されているので是非!

 

さらに、ハイレゾ対応アンプを通じて、ハイレゾ対応のオーバーヘッドホンを有線接続してきくと、とっても楽しくなります。

ライブ感を楽しむならハイレゾをヘッドホンで聴こう!

 

ライブ感を楽しむならハイレゾ一択です。

 

再生能力限界のような低音や高音が会場にある。

ライブ会場ならではの音も合わせて聴けるのがハイレゾの魅力。

 

一方、スタジオ録音の作品を視聴するならハイレゾに拘る必要ないと私は思っています。

 

試聴に選ぶ音源

 

最初からハイレゾ音源を聴くよりも、この音源をハイレゾ対応機器で再生して、自分の気持ちに変化があるなら音源を買い足してゆく、で良いと思います。

 

まずは、Youtubeとはいえ録音品質が良いものを音源として、ハイレゾヘッドホンで視聴するということです。 

 

音源のセレクトは私の場合のことです。

みなさん、お好きな音源で感動体験をしてください。

 

再生機器を変えると音は変わる、音源を変えると体感が変わる、と思っています。

 

入門機のアンプはPMA-30

 

入門機は対応アンプを選ぶなら、デノンのPMA-30がおすすめ。

以下4点が特徴で、最初に買うアンプとして最適と思います。

  • 192 kHz / 24 bit 対応デジタル入力
  • BLUETOOTH対応で同時に3台接続可
  • aptX方式も装備して伝送遅延対策も完備
  • アンプは縦おき、横置きのどちらも可で置き場所に困らない
  • S/N比は100dBと十分

 CDを超える表現力をしっかりスピーカーにパス出来て、お値段は4万円未満。

クーポンとかポイントを併用してお得に買ってはいかがでしょう。 

ハイレゾ音源をしっかり再生するのはヘッドホン

 

ハイレゾ音源を鳴らしきるスピーカー製品は少なく、価格も高い。

一方、ヘッドホンなら鳴らしきる製品はたくさんあるのが現実です。

 

一番の懸念はダイナミックレンジを満たすスピーカーが少ないこと。

 

日本の住居はマンションが多いことを考えると止むを得ない現実かも知れませんが、CDレベル(96dB)を超えて再生出来ないスピーカーが多いのです。

 

JEITAやJASの基準では、40kHzを出力できれば良いとか、ハイレゾ音源を再生できれば良いという定義のみです。

 

再生出力がCDの理論値96dBを超えることを要件にしていません。

音源に高いお金を払う以上は、しっかりと再生するスピーカーで聴きたいですよね。

 

ということで、そういう安心感を欲しい人にはヘッドホンがお勧め。

 

耳元でなるので、感度、再生周波数ともにハイレゾを手軽に味わえます。

 

USB-DACのヘッドホンをきっかけにオーディオに凝りだす人がいるのも頷けます。

 

ヘッドホンの方が音源の再生能力、視聴体験の質の高さは良いのです。

カナル型では低音の表現力に限界があるから、大きめのオーバーヘッドホンがお勧めです。

 

憧れた逸品のMDR-1A

 

今は生産終了していますが逸品です。

SONYが真面目に作るとヘッドホンはこうなるという典型的な製品が「MDR-1A」です。

 

感度は105dB。

再生周波数は 3〜100,000Hzです。

 

ミスタイプではありません。3〜100,000Hzです。

しかも、105dB!

 

おそらく当時、この金額で買える、世界一の表現力を持ったヘッドホンと思います。

この製品に近いスペックであれば、ハイレゾ再生機器に相応しい相棒となるでしょう。

 

ソニーのドンシャリが嫌いだったけど、このヘッドホンは違いました。

 

25,000円のハイレゾ:ソニー MDR-1AM2

 

大好評となったソニーのMDR-1A後継機、M2です。

 

振動板は超軽量で強度も備え、クラシックもお任せくださいという実力派。

ダイナミックレンジが98dBで、ハイレゾ要件をギリギリ満たします。

本当は100dBまで引き上げて欲しい。

 

感度   :98dB

再生周波数:3〜100,000Hz

15,000円のハイレゾ:デノン AH-D1200

 

デノンのAH-D1200です。

ハイレゾ要件を満たすヘッドホンです。

茶色の可愛いポーチが付属するので、鞄に入れて持ち歩いても傷がつきにくい。

 

感度   :100dB

再生周波数:5〜40,000Hz

私の身の回りの製品をハイレゾか否かチェックした

WF-1000XM3以外の製品を調べてみましたが、ハイレゾ該当品なし。

 

ハイレゾに近づけようと頑張る製品はあるけれど、基準未達。

とは言っても、視聴体験に不満はない。

 

音源の質にも左右される点がハイレゾの謎です。

 

ノイズキャンセリング機能搭載”ウォークマン”専用ヘッドホン(MDR-NWNC33)

 

今も利用中のソニーのウォークマン(NW-A16)の付属ヘッドホン。

ノイズキャンセリング用に買い求めやすい価格の「撒き餌」製品ながら侮れません。

 

入門用に価格がこなれているけど、不足しているのは周波数のみ。

カナルタイプで小さいのに、こんな再生力があるなら十分です。

  • 音圧感度:105dB/mW
  • 再生周波数帯域:50-20,000Hz

→ CD基準。再生周波数だけが不足。

 

オーバーヘッドホン ATH-T400

 

今も使っているオーバーヘッドホン。

ハイレゾ出始め当時に、非ハイレゾ製品として5千円弱の店頭価格です。

ほぼハイレゾに近い能力を持つので、今なおコストパフォーマンス良好なヘッドホンでしょう。

側圧は柔らかく、1時間つけていても耳は痛くならないのも好き。

  • 出力音圧レベル:105dB/mW
  • 再生周波数帯域:15~23,000Hz

→CD基準。再生周波数が1,000Hz不足。

 

オーバーヘッドホン WH-1000XM3

 

最新のオーバーヘッドホンを調べると、当然ながらハイレゾ基準を満たします。

スピーカーが大きいこともあるけれど、十分な出力を持ってますね。

  • 感度:105dB/mW(有線接続、POWER ON時 1kHzにて)、101dB/mW(有線接続、POWER OFF時 1kHzにて)
  • 再生周波数帯域:4〜40,000 Hz (JEITA)

→ハイレゾ基準(JEITA基準)。ダイナミックレンジ・周波数ともにCD基準超。

アンプ AVC-1850

 

デノンの2001年発売のホームシアターのアンプ。

ダイナミックレンジも周波数も余裕でクリア。

ハイレゾという言葉が無い時代でしたが、余裕の実力。

  • SN比/100dB(TONE DEFEAT ON時)
  • 周波数特性 / 10Hz~100kHz(+1dB、-3dB)(TONE DEFEAT ON時)

ハイレゾを聴くならライブ音源をヘッドホンで!

スタジオ録音をハイレゾ音源で聴いても楽しい。

 

でも、一番違いを感じるのは、クラシック、そして、ロックやポップのライブです。

クラシックとかスタジオではなく、コンサートホールでしょうからライブ会場なんです。

 

クラシックならダイナミックレンジが広くないと、つまらない。

同じことがロックやポップにもいえて、ライブ会場になるとダイナミックレンジが広い機器で視聴しないとつまらない。

 

ということで、是非、ヘッドホンで楽しむところから始めることをお勧めします。